希死念慮――。
「この世界から、僕の存在が消えてなくなればいいのに」
都内に住む男子学生・『宵宮梯子(よみやはしご)』は、学校の花壇に横たわり青空を仰ぎながら、そう願った。
耳に突き刺さる蝉の声も、身を焦がす熱い陽射しも。学生たちの喧噪さえ、遠く聞こえた。
青く、蒼く、碧に惹かれる――静かな、時間だった。
それから1年が経ち、以来不登校になっていた梯子は思い立って家出を決行する。
あの日失った、自分の中の何かを取り戻したくて。
辿り着いたのは、都内に佇む巨大な廃墟群。
誰にも知られず、縛られず、後も先も考えずにただ毎日を過ごそうと思っていた――のだが。
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